蚕が繭になりました!~兵庫県唯一の養蚕の現場から~

ルーペで見ないと分からないほどの、小さな赤ちゃんだった蚕たち。その成長をこれまで追ってきましたが、ついに蚕は大仕事・繭作りに取り掛かり始めました。

柿原さんの蚕室。桑はなくなり、大量の蔟がつりさげられています

柿原さんの蚕室。桑はなくなり、大量の蔟がつりさげられています

 

上蔟したばかりの蚕たち

上蔟したばかりの蚕たち


 

 
食欲旺盛だった5令幼虫たちもいつしか桑を食べなくなります。それが繭づくりのサイン。蔟(まぶし)と呼ばれる小さなマンション型の囲いに入れられます。繭を形成し始め、蚕が蔟から落ちなくなってきたら、蔟を吊り上げます。これを上蔟(じょうぞく)といいます。

決められたスペースの中で蚕たちは口から糸を吐き出します

決められたスペースの中で蚕たちは口から糸を吐き出します

蔟に入れて吊り上げるのは、飼育場や繭が蚕の糞や尿で汚れないようにする目的があります。この形ですと糞や尿は下に落ちるので衛生的です。柿原さんのお宅では床に新聞紙を敷くなどして工夫されていました。

柿原さん宅で使われている回転蔟

柿原さん宅で使われている回転蔟

この蔟は、蚕の重みによって回転する仕組みになっています。これは、蚕に「上にのぼる」習性があるため。上方のスペースに繭が集中してしまうと、あぶれた蚕が繭を作れなくなります。ですが回転蔟だと蚕の重みで上下が変わり、空いているスペースが上に来ます。蔟の中でまんべんなく繭を作ってもらうための、昔からの工夫なのです。
 


 
蔟にくっついていることができなくて落ちてしまう蚕もいます。見つけたら、それをまた蔟の中に入れてやります。そうして1日~2日ほどで蚕は完全な繭の形になります。

一日早く上蔟した蚕たちは、ほぼ完全な繭になっています

一日早く上蔟した蚕たちは、ほぼ完全な繭になっています

口から吐いた糸を速く乾かしてやるために、送風機や扇風機などで風通しを良くしてやるなどの工夫も施されています。
また、お弟子さんの原田さんは、今年初めて自分で蚕を育ててみることに挑戦。こちらも無事、繭になりました。

原田さんの育てた蚕たち

原田さんの育てた蚕たち

綺麗に繭を作った蚕たちは晴れて出荷されます。柿原さんの見立てでは、取材日から3日後くらいに出荷できるのではということでした。
そしてまたはじめから今年2度目の養蚕が始まります。