但馬牛基幹種雄牛に 県内わずか12頭 春日町 棚原 山本さん生産「丸春土井」 丹波初 「産地価値高まった」

 黒毛和牛の最高級ブランド、但馬牛。春日町棚原の但馬牛繁殖農家、山本浩さん(73)宅で生まれた「丸春土井」(5才)が、県内にわずか12頭しかいない、雌牛に精液を供給する基幹種雄牛に作出された。氷上郡、多紀郡時代を通じ、丹波地域で初めての快挙で「長い改良の成果。産地としての価値が一つ高まった」と関係者は喜んでいる。4月から精液供給が始まり、県内の雌牛に種付けされ、丹波市生まれの父親の血統を持つ牛が肉牛として生産され、およそ3年後に市場に出回る。
 一般的に但馬牛の肉は雌と去勢。雄子牛は去勢され、県の基幹種雄牛産出対象になったもののみが雄牛として育てられる。
 JA丹波ひかみによると、近年、丹波市内の繁殖農家から母牛が選ばれるようになったが、生まれた子が雌であったり、雄であっても途中の選抜でふるい落とされ、種雄牛に届かずにいた。
 「丸春土井」を産んだのは、山本さんが飼っている雌牛「みやこ」。父はスーパー種雄牛「丸宮土井」。「丸春土井」は、但馬牛の遺伝的多様性に貢献できる期待があるほか、種を付けて生まれた子の発育が良いうえ、枝肉重量が大きく、脂肪交雑が高くサシが細かいなどが優れているとして、父に代わって「12頭入り」を果たした。
 生まれた時の体重は通常25―26㌔だが、「丸春土井」は31㌔あり、「生まれた時から大きかった」と山本さん。県に買い取られるまで7カ月間、特段病気もせず、すくすく育ったという。
 元氷上郡畜連参事で、牛に携わって半世紀近くになる山本さんは、「ここまで来れたのはうれしいが、現場でどう評価されるかだ。『丸春土井』の種を使ってもらい、いい牛ができ、さらなる改良につながっていけば」と言い、「今回の件で、ごっつうやってやろうと意欲がわいた。『丸春土井』の種をうちでもつけ、メスが生まれたら県の畜産共進会に出せる牛に育てたい」と次の目標を語った。
 林孝志・同JA畜産センター所長(42)は、「丹波から念願の種雄牛が誕生した。『丸春土井』の祖父母ともに丹波市にゆかりがあり、まさに氷上郡時代からの丹波市の改良の成果。産地として一つステージが上がった。この地域の生産者全体にとってうれしいこと」と声を弾ませた。
 基幹種雄牛は、県が管理し改良を計画、県内農家の協力を得て実施している。毎年県内で母牛50頭を選定、12頭の種雄牛のどの種をつけるのかも県が決め人工授精で交配させる。生まれたオスの子牛から16頭を選び、その後7頭を選んで候補牛とし県内のメスに種付け。生まれた子を肥育(去勢牛で29カ月、メス牛は32カ月)した後枝肉にし、枝肉成績から育種価を算出し、能力を評価する。「丸春土井」も生まれてから種雄牛デビューまで、5年半余りかかった。

 

牛山本さん

(写真)繁殖農家の山本浩さんと、丸春土井を産んだ「みやこ」=春日町棚原で

 

丸春土井2
(写真)基幹種雄牛として4月から凍結精液が県内農家に配布される「丸春土井」

記事提供:丹波新聞