伝統の技と心を残し、伝えたい!丹波布作家・大谷由美子さんが語る丹波布の魅力

丹波市青垣町の佐治地域でかつて織られていた平織りの手織り布・佐治木綿。一度衰退しましたが柳宗悦がその素朴な美しさに惹かれたことをきっかけに復興され、「丹波布」と呼ばれるようになりました。丹波布は、国の指定無形文化財でもあります。

丹波市では道の駅あおがき内に「丹波布伝承館」があり、丹波布伝承館の長期伝習教室では、受け継がれていた伝統の技術を学ぶことができます。

私どもは、その長期伝習教室を修了され、現在丹波布伝承館で後輩のご指導に当たりながら、制作工房とギャラリー「丹の布」も立ち上げられた大谷由美子さんを訪ねました。

 

「丹の布」ギャラリー内部

「丹の布」ギャラリー内部

ギャラリーの中には丹波布の反物やテーブルセンター、巾着などの作品のほか、陶芸家河合一喜さんの陶芸作品も展示。工房には4名の技術者のメンバーがいらっしゃり、ギャラリーに置かれている丹波布の作品は大谷さんをはじめとするメンバーの方の作品です。古道具の家具や、窓から広がる庭園の風景も楽しめる、静かで落ち着いた空間がそこにあります。もとは、お母様のご実家だったというこの場所で、大谷さんが「丹の布」を立ち上げられたのは1年前。そこに至るまでの、大谷さんと丹波布の出会いについて伺いました。

 

大谷さんのお祖父さまが作られた庭園

大谷さんのお祖父さまが作られた庭園

「私は縫製が好きで、学生の時には縫製に進みたいという気持ちもありましたが、子どもの頃から塗り絵が好きで、色に対しての興味が深かったこともあり、手描き友禅を将来の職業にしたいと思い、染色コースへと進みました。その中でも草木染めの印象がとても強くて。織りの体験もして面白さ、奥深さを感じていました」

その後、違う道を選び、関東で暮していた大谷さん。縁があり帰丹されてからは、丹波布の名前は聞きながらも、子育てにまい進、集中する日々だったそうです。

「丹の布」内の工房

「丹の布」内の工房

「でも子どもが育っていくにつれ、『自分は子どもたちが巣立って行ったら何をしているんだろう』とふと思って。その時に過去のことを振り返ってみて、やっぱり染色や織り、自分がやりたかったことにもう一度挑戦してみようと決めたんです」

子育てに一段落がつき始めたころ、お友達にお付き合いする形で「丹波布伝承館」へ初めて足を踏み入れた大谷さん。一歩入った途端に「私がしたいことはこれだ!」と確信されたのだとか。

ギャラリー内部。丹波布で作られたテーブルセンターなど

ギャラリー内部。丹波布で作られたテーブルセンターなど

決断からの行動は早く、当時勤められていた会社を去り、次の三月には伝承館の伝習生として学び始めたという大谷さん。丹波布という布を織る技術だけではなく、布自身が持つ奥深さにも惹かれ、技術を身に着けてからは後輩に「伝えていきたい」という想いも強まりました。

丹波布の染色は、地元で取れる植物を使った「草木染め」

丹波布の染色は、地元で取れる植物を使った「草木染め」

 

「伝承館での伝習生は2年の期間があります。1年目はいっぱいになってしまいがちですが、2年目からは機の上を見られるようにと伝えています。そして、布が織れるようになってくると嬉しいのですが、その中で自分の将来についてうっすらでもいいから考えてみてほしいとも伝えています。将来を見据えて伝承館に来ている人、向上心のある人はそれが布に現れてきます。そういう人が増えると、丹波布の意識が高くなっていきます」

丹波布のテーブルセンターと、河合一喜さんの陶芸作品

丹波布のテーブルセンターと、河合一喜さんの陶芸作品

凛とした佇まいを持つ、大谷さん。伝え、つないでいくことに情熱を傾けながらも、物事に動じない、安定した心を保つことが作品作りに大切だと語ります。

「手作りをする人には、環境が大事。環境作りは自分次第で、自分がどういうものを作りたいと思うかで環境が決まってくるんですよね。常に自分の心の中を見て、心のざわめきを感じるときには静かな時間をとってみるとか。丹波布には糸紡ぎの工程があるので、糸紡ぎは冷静さを保ってくれます。また私は子供の頃、山や川など自然の中で遊ぶのが大好きでした。今も疲れたり行き詰まったりした時には、山の空気を吸いに行ったり、ボーと眺めたりして気分転換をする事にしています」

「丹の布」メンバーの織られた反物

「丹の布」メンバーの織られた反物

糸を紡ぎ、草木染めをして、織る。その長い工程の中、いつも心を保ち続けることを大切にされている、大谷さん。最後に、丹波布への想いを伺いました。

「丹波布というものはもっと知名度があってもいいものだと思っています。そのためには、作り手が高い志を持ち、かつ自分の布に酔いしれない姿勢が大切です。自分の布に厳しく目を向けて、目利きができるように、布だけでなく様々な作品を「古くからのものが今もなぜ残っているのか」という視点で見ていきたいと考えています。」

今後もますます、ご自分の納得のできるものを作りたい、そしてその技術だけでなく心を、多くの後輩に伝えたいと考えていらっしゃいます。

お話いただきました 大谷由美子さん

お話いただきました 大谷由美子さん

大谷さんの作品は、工房&ギャラリーの「丹の布」で取り扱いされているほか、10月25日「秋の味覚フェア」手仕事ブースでも取り扱います。この機にぜひお手に取ってみてください。

—————————————————–
丹の里・丹波市秋の味覚フェア

日時:10月25日 10:00~15:00
場所:丹波の森公苑