木の性質を見極める!人と木材の出会いの場 ~丹波市の林業の現場と現状・競り市編~

丹波市における、林業の現場は今、どのような状況でどのような課題を抱えているのでしょう。前回は山の中、杉やヒノキの伐採を行っている現場でお話を伺いました。
そして今回は、伐られた木のその後を知るべく、丹波林産振興センターで行われた木材の競り市、「新緑市」にお邪魔しました。

競り市の現場。数多くの木材が並べられています

競り市の現場。数多くの木材が並べられています

競り市の現場には、丹波市を中心に、篠山市や多可町からも木材が運び込まれていました。買い方である製材所の人たちが集まり、10時の合図とともに競り市が始まります。

競りを行うのは丹波林産振興センター、原木市売部の方々です。原木市売部の方が相場に合わせた値段を提示し、買い方はそれに応じて手を挙げ、希望の値段を提示します。

値段の提示をする、原木市売部の森安哲也さん

値段の提示をする、原木市売部の森安哲也さん

買い方は、希望の価格を指で示しながら挙手します

買い方は、希望の価格を指で示しながら挙手します

競りに使う言葉や節回しも独特。買い方さんの素早い挙手も瞬時に読み取って、スピーディに競り市は進みます。

赤、青、黄色などのクレパスで番号が記された木材

赤、青、黄色などのクレパスで番号が記された木材

買い方が決まった木材には、買い方番号として、製材所の方々がそれぞれ持っている番号が赤文字で記されていきます。また、青い文字は末口(小さい径の切り口)の最小径、黄色い文字は伐採した方(素材さん)を示す山方番号です。記されたこれらの番号も、競りでどれくらいの値段がつくかにかかわってきます。

また、木材に貼り付けられた紙には、木の種類や山方番号、長さや直径の他に「体積」も示されています。競りの現場でやり取りされている値段は「一立方メートル当たり」の値段です。つまり、1万円で落札された木の体積が0.6立方メートルであれば、実際支払われる価格は6000円という計算になります。

木材を吟味する買い方さんたち

木材を吟味する買い方さんたち

木の性質についてお話いただきました、橋本功代表理事

木の性質についてお話いただきました、橋本功代表理事

「本当に質のいい木かどうかは、実際に製材してみないと分からない。実際に製品にするということを経験して初めて、自分のほしい木かどうかが分かります。どのような癖がこの木にはあるか、穏やかな木か、激しい木か、アテ(注)が入っているかどうかそのような木を見極めて、使いやすい木や質の良い木は値段が高くなります」
木の性質を見極めるには、研ぎ澄まされた感覚と経験がものを言います。しかし、国内では木材の値段は昭和55年をピークに下降を続け、現在取引されている価格は20年前の2分の1程度になったのだともいわれます。

落札された木材を運ぶ様子。複雑な操作が求められる作業です

落札された木材を運ぶ様子。複雑な操作が求められる作業です

丹波林産振興センターに勤めて13年になるという森安哲也さんも、この期間中に変化を感じたと語ります。
「僕たちが入る前には、同じ木でも数倍の値段で売れていたと聞きますし、僕が入ってからでは建築材料がベニヤ材などに変わってきているな、と感じています」

競りの途中にも売り方として、買い方さんたちと会話ややり取りを楽しんでいた様子の森安さん。競りを終えた気持ちはどうでしょうか。

人と人とをつなぐ仕事の面白さを語る、森安哲也さん

人と人とをつなぐ仕事の面白さを語る、森安哲也さん

「僕たちは木を預からせてもらって、製材所に渡すというパイプの役目です。人との関係ができていくのがこの仕事の楽しいところです。預けてもらっている木は大切にせなあかんと思っているので、競りが終わって売れたあとは『よかった』とホッとします。」

一口に「木」といっても、伐採する人や加工する人、またそれをつなぐ役目の人も存在します。人の手から人の手へ。作られた木工品には、多くの人たちの想いが詰まっています。

(注釈)「アテ」とは…山の斜面などによって生じる、木の傾きや曲りにできる部分。曲りやそりなどが発生しやすい部分なので、扱いに注意が必要です。