酒蔵で女性活躍 西山酒造場 見える化で品質安定 データの数値化や 作業効率化に貢献

酒造りに新しい風を吹き込んでいる西山酒造場の女性蔵人たち=同酒造場で

酒造りに新しい風を吹き込んでいる西山酒造場の女性蔵人たち=同酒造場で

西山酒造場(市島町中竹田、西山周三社長)で、6人の女性蔵人が活躍している。同酒造場では、杜氏を含め蔵人は9人のため、半数以上が女性。“男の世界”のイメージが強い酒造りで、女性ならではの視点や繊細さなどを取り入れることで、高いレベルでの品質安定につながっているという。最近では、大手の酒造場も視察に訪れるなど、注目が集まっている。西山社長は「社員の女性比率を上げることが目的ではなかったが、品質安定と整理整頓の徹底に結び付いた。そこには女性の力が大きくかかわっている」と話している。
 女性を蔵に採用するようになったのは、4年ほど前から。「異業種とのかかわり合いの中で、女性が活躍するシーンを見てきた。女性の感覚や視点を蔵に取り入れたかった」と西山社長。チームワークが大切な酒造りの中で、女性の明るさが生きる会社にしたかったという。
 「酒造りは経験や勘、感覚など職人的要素が強い。その結果、年によって微妙に味が違うなど、ばらつきが見られる場合があった」と話す西山社長。細かなデータを取って分析し、酒造りの“見える化”を進め、高い品質を保てるように改革したかったという。「そういったデータ取りや分析などは、女性の繊細さが生きると考えた」と語る。
 例えば、蒸した酒米に麹菌を振り、手で酒米の塊をほぐす「床もみ返し」の作業では、台に酒米を何㌢の高さまで敷き詰めるのか、これまで明確でなく、経験に頼っていたという。これらのデータを取って数値化して壁に貼り出し、酒造りにとって最も良い条件での作業が毎回できるようにし、誰でも同じ作業ができるようにした。ほかにも、データを取りながら蓄積がなかった項目についても再度取り直し、酒造りに生かしているという。
 これらの取り組みが、最も生きた出来事が、一昨年の丹波市豪雨災害だった。「蔵内にも土砂が入ったが、あれだけの被害の中で、酒造りの上で味がばらつかなかったのは、女性蔵人によるデータ取りによるものが大きかった」と振り返る。
 女性の細やかさは、整理整頓術にも表れている。蔵で使う道具を片付ける場所を明確化し、作業の効率化に結び付いているという。
 女性蔵人の採用が本格化し出した昨年4月に入社した上海出身の崔懿さん(27)は、蔵の仕事をメーンに、リキュール製造や化粧品開発にも携わる。「入社したのは、女性が働きやすい環境に変わりつつあるときだった。周りに女性が多くて心強い」と語る。午前8時半から作業を始め、麹作りや仕込みなど、杜氏の指導で酒造りの全般に関わっている。「酒造りが好き。いつかは中国への日本酒の輸出業にも取り組めれば」と話す。
 夏場は酒米栽培も担当する櫻庭真理さん(35)は、「整理整頓は、女性の方が徹底していると思う。自分たちで働きやすいように変えている部分もある」と語る。今年は、これまでより大幅に酒米の作付け面積を増やすことにしており、「とにかく収量を上げることが目標です」と笑った。