「栗の栽培は楽しい!」丹波くり振興会長・河村修治さんに聞く栗栽培の魅力

今回は、先日、青垣町栗住野の栗園にて行われた、「栗剪定講習会」。そこでお話を伺った、丹波くり振興会の会長を務める河村修治さんの栗園に、お邪魔しました。

ここ、柏原町石戸にある石戸観光農園では栗の他、ぶどうや梨などの栽培・収穫・販売が行われています。冬の大きな仕事はやはり、栗の剪定。「昨日、剪定が終わったばかり」と言われるとおり、栗の樹たちは低く樹高を整えられ、本格的な春の到来を待つだけの状態になっていました。2か所の栗ほ場を合わせて、1ヘクタール近くの面積。それだけの広い栗園を河村さんは一人で剪定しているとのこと。剪定するにあたって、苦心・苦労されていることを伺ってみました。

前日剪定を終えられたばかりだという、河村さんの栗園

前日剪定を終えられたばかりだという、河村さんの栗園

「苦心するのは、それぞれの樹の状態をちゃんと見てやるという点です。樹が大きくなるにつれて隣の樹の枝とぶつかってくることもある。それに全体の日当たりを見定めることが難しくなってくるので、大きくなった樹をどれだけ思い切って剪定できるかというのが苦労といえば苦労です。」

栗栽培について語る河村修治さん

栗栽培について語る河村修治さん

桃栗3年という言葉から、栗が実をつけるのには3年近くかかることが分かります。ではその栗は、いったいどれくらいの期間実をつけ続けるのでしょうか。

 

栗の樹には「早く枯れてしまう」というイメージがあるそうです。それは、栗の幹の中に「虫が入ってしまいやすい」という性質によるもの。

 

「樹をしっかり見ていると、虫が入った穴が分かります。その穴をいち早く見つけるために、いつも見まわっていないといけない、それも大変なことではあります。でもそうやって手をかけて栽培してやれば、栗の樹は80年や100年も実をならしつづけてくれます。」

 

河村さんが果樹園の手入れに使う道具を収めた、広い倉庫

河村さんが果樹園の手入れに使う道具を収めた、広い倉庫

このような大変な作業を重ねながらも、河村さんはそれを「苦にならない」と語ります。毎年雪がちらつく中で剪定を行わなければならない日もありますが。それも、「つらいと思わない」そうです。それはなぜでしょうか。

 

「いつも栗の樹を見て、『この樹は面白い樹やな』と思ったりしながら剪定をしています。樹によって表情が違う。剪定をしながら、秋になったらどんなに実がなるだろうと想像する。果樹というのは大変ですが楽しみがありますし、真剣にやればやるほど奥深さが分かってきます。ですからどんな作業も非常に面白い、楽しいと思いながらしています。」

 

栗の樹に「楽しませてもらっている」と語る河村さん。愛情をこめて成長を見守り、そして収穫し選別をする頃には娘を嫁に出す父親のような、「手放したくない」という気持ちすら芽生えることがあるそうです。

 

「よく農家の人が作物を『自分の子供みたいに育てている』と言っているのを聞きますが、それは本当のことだなと、作っているものからしたら感じます」

 

栗栽培を、これからも楽しみたい。そんな想いで2年前に植えた、若い栗の樹

栗栽培を、これからも楽しみたい。そんな想いで2年前に植えた、若い栗の樹

河村さんが栗栽培にかかわり始めたのは25年ほど前。以前は会社勤めをしていましたが、それまで果樹園を経営されていたお父様が病気になったことがきっかけとなりました。はじめから、栽培を楽しむことはできなかったといいます。

 

「はじめはただ、必死で、がむしゃらにやっていました。でもそれも無駄ではなかった。乗り越えたところに、楽しい、面白いと思える境地がありました。最近は農業のほうでも若い方の参入がありますが、大変なこともあると思います。でもそれを乗り越えたところに、奥深さや面白さが必ずあるので、それをできるだけ早く感じられるようになって、楽しんで続けてもらえたらと思います。」

雨上がり、さっそく作業に入る河村さんと栗園・奥に見えるのがぶどう園

雨上がり、さっそく作業に入る河村さんと栗園・奥に見えるのがぶどう園

「果実は空腹を満たすものではなく、心を満たすもの。人の心に響く感動的な観光農園を目指すとともに果樹栽培を通じて地域振興に貢献する」

 

それが、河村さんが持つ、石戸観光農園の経営理念です。日々、目の前の木に対して「楽しい、楽しませてくれる」と感謝の気持ちをただ重ねて、結果としてできていくのが河村さんの栽培する果実なのです。そんな果実を手にするとき、口にするときに心満たされる思いがすればそれは、河村さんの想いが通じたということなのかもしれません。