創業118年、家業守る 在来種製茶「体動く限り」 かねゆ茶舗(成松)・足立幹子さん

茶葉の蒸し具合を確かめる足立幹子さん=氷上町成松で

茶葉の蒸し具合を確かめる足立幹子さん=氷上町成松で

創業118年になる丹波茶製造、かねゆ茶舗(氷上町成松、足立幹子さん経営、0795・82・1017)で、新茶の製造がピークを迎えている。同社の茶製造は年1回、一番茶の時期のみ。在来種とヤブキタ種をブレンドした、渋味の少ないあっさり味が特長だ。加工の請負いもしており、市内外から自家栽培した茶葉が持ち込まれている。
夫の実家の家業を継いだ足立さんは三代目。繁忙期には7人を雇用し、茶葉の収穫、製造、茶園の管理を行っている。
茶園は、氷上町内を中心に、柏原、篠山市栗柄にもある。自己所有の茶園約1㌶と、栽培する人がいなくなった茶園約2㌶を管理している。
味の決め手の在来種は、自己所有の茶園のうち、明治に茶舗を興した時から守っている氷上町上成松と同町柿柴の2カ所で栽培。在来種は、戦後多く植えられたヤブキタ種より葉が小さく収量が少ない上、生育もゆっくりだが、甘味があり渋味が少ない。
5月のひと月稼働する工場の建物は明治のもの。「体に無理がないように」とボタン一つで加工ができるよう機械化を進めている。茶葉を蒸し器に投入する作業以外は、茶葉をもむ揉捻、乾燥など、一連の工程が機械で行われる。
高級な玉露から青柳、茎茶など日常的に飲む物まで幅広く作っている。特に宣伝はしておらず、顧客は「味を好んでくれている」市内の人、加工を頼みに来る人、人からもらって気に入った人など、「口コミ」の範囲内。
現在、丹波市内で製茶をなりわいとしているのは同店のほか数社だが、明治から大正にかけて茶は重要な輸出品で、同店もお茶を輸出していた。「丹波氷上郡誌」によると、大正8年の郡内の製造者数は9128人。
製茶に携わり40年近くになる足立さんは、「もうけはないが、自分が死ぬ時に『自分はお茶を作ってきた』と神仏や父、母に言えるよう、体が動く限り続けたい」と思いを語り、「茶の木からきれいな芽が毎年出る。お守りをしないといけないしね」とほほえんだ。

在来種の刈り取りが進む氷上町上成松の茶畑

在来種の刈り取りが進む氷上町上成松の茶畑