第4回 丹波農業 グランプリ 全国に誇れる農家たち

子どもに夢を与え、地域を元気にし、環境にも配慮する、全国に誇れる農業に取り組んでいる農家や農業団体を表彰する「第4回丹波農業グランプリ」(丹波大空の会、丹波市認定農業者会、丹波市有機農業研究会でつくる実行委員会の主催)。グランプリ、準グランプリ、氷上高校生が選ぶ「夢の農業賞」、45歳未満か就農後10年以内の農業者が対象の「新人賞」に輝いた5組を紹介する。

グランプリ
たかみ農場
高品質で多収穫を研究

 コメ農家で 水稲10㌶を栽培するほか、丹波市市島町与戸、勅使を中心に田植え10㌶、稲刈り20㌶、乾燥・もみすり28㌶分の100戸近くの作業を受託する。力を入れつつある豆類を含め、ほぼ農薬を使わない環境に優しい農業を実践している。
 高見康彦代表(47)=同町与戸=は、JA丹波ひかみの営農相談員として、市島、和田、小川で計11年間勤務した後、2003年に父の後継者として就農した。
 JAS有機栽培で、高品質、おいしさ、栄養価がありながら多収穫をめざす「BLOF理論」を学んでおり、米は反収500㌔以上、豆類は150㌔以上を目標としている。
 10㌶のうち4㌶がJAS有機のコシヒカリ。特別栽培米のコシヒカリが5㌶。両者の違いは農薬を1回使うかどうかのみ。丹波大納言小豆(60㌃)と黒大豆(90㌃)は無農薬無化学肥料栽培。ジュースに加工するニンジンはJAS有機(30㌃)。
 土壌分析によって肥料設計をし、バランスの取れた土づくりを行っている。「作物によってバランスが異なるので整えてやることで食味が変わる」と言う。たい肥舎を備え、たい肥は100%自家生産。
 JAS有機米の規模拡大、施設園芸への挑戦、農業生産法人の設立準備も始める。
 若手農業者でつくる丹波大空の会、JA丹波ひかみ有機米研究会、丹波市有機の里づくり推進協議会、丹波市認定農業者会に所属。会の視察研修、勉強会に熱心に参加する。「仲間と、全国にいるすごい農家、すごい地域から学び、技術を高めていきたい」と言う。グランプリ受賞を「うれしい」と言い、「がんばっていかなければいけないという気持ちになった」と微笑んだ。

鉄工所に教わりながら自ら手がけた大型農機倉庫で農業グランプリの盾と表彰状を手にする高見康彦さん=丹波市市島町与戸で

鉄工所に教わりながら自ら手がけた大型農機倉庫で農業グランプリの盾と表彰状を手にする高見康彦さん=丹波市市島町与戸で

準グランプリ・夢の農業賞
農家民宿おかだ
「楽しい農業」モデルに

 岡田かよ子さん(60)・洋さん(71)夫妻が都市部からUターンし、丹波市氷上町新郷で「農家民宿おかだ」を始めて13年目。かよ子さんの実家を改装し、1泊2食付の宿と、かまどごはん炊きや窯焼きピザ作り、農業体験ができる環境を整えた。農を中心とした食、宿の多角経営で、〝楽しい農業〟を実践する。
 米5反のほか、ハーブを入れて年間約130種類の野菜や果物を育てている。野菜は完全無農薬栽培。イタリア野菜など珍しい品目にも取り組み、宿やレストランでは伝統料理に加えて、かよ子さんの創作料理も好評だ。
 「嬉しい・楽しいを創造し、愉快に暮らす」がコンセプト。子どもから大学生、社会人までさまざまなグループが宿を訪れ、農を通じた交流を楽しんでいる。わら縄づくりや餅つき、トラクター体験、農産物を使った商品開発など、参加者の希望に応じて型にはまらない体験を提供している。
 「命の源となるのは食。丹波の食を支える山、川、田畑は誰が守っていくのか。こうしたことをもっとみんなで真剣に考えなければならないという思いは年々強まっている」とかよ子さん。今後は黒豆や野菜を使ったスイーツの製造販売にも力を入れていく予定で、かよ子さんは「田舎の小さな農家は多角経営が合っていると思う。『おかだ』の取り組みが1つの参考事例になれれば」と話している。

「田舎で楽しく農業をする一つの事例になれれば」と話す岡田さん夫妻=丹波市氷上町新郷で

「田舎で楽しく農業をする一つの事例になれれば」と話す岡田さん夫妻=丹波市氷上町新郷で

準グランプリ
稲畑どろんこ会
農地守り地域を活性化

 2007年に丹波市第1号の農事組合法人となった「稲畑どろんこ会」。氷上町稲畑地区に住む60歳代の男性9人(常勤社員5人、臨時社員4人)で組織している。12年には先駆的に「人・農地プラン」を策定するなど、市内の農業施策をリードする存在だ。
 地名が表すとおり、古くから農耕に適した土地で、伝統工芸品「稲畑人形」や郷土芸能「稲畑式三番叟」に代表される豊かな農村文化がある。高齢化が進み、農地や文化の後継者が課題となるなか、「地元の文化を守り、地域に活力を与える」という使命感を持って活動に取り組んでいる。
 水稲、小豆、麦、黒大豆など、今年度は地区内で計19・3㌶を作付けした。年間売り上げ目標3000万円。収益アップを図るため、日本酒ブームの影響でニーズが高い酒米の作付けを増やし、種子栽培にも力を入れる。また今年度はコストダウンにつながる水稲の直播面積を増やした。
 農業のみならず、「どろんこ運動会」などの交流イベントも行い、地域活性化にも取り組む。

稲畑どろんこ会のみなさん

稲畑どろんこ会のみなさん

準グランプリ
芦田
ポートリー
平飼い卵 災害から再興

 事務所隣の平飼い鶏舎と市島町南のケージ飼いを合わせて1万羽の飼育能力があり、「丹波・幸世村の平飼いたまご」「あしださんちのたまご」として展開中。
 約4000羽を飼育していた市島町上鴨阪の平飼い鶏舎が8月16日丹波市豪雨災害で壊滅。平飼い鶏舎は5月ごろにようやく1000羽のフル稼動ができる。
 平飼い鶏舎では、食肉にしても味が良い岡崎黄斑と卵が大きいボリスブラウンを飼育。もみ殻を敷き、鶏糞たい肥を作り、農家に渡し、循環型農業に役立てる。
 安全、安心への配慮から、エサは、非遺伝子組み換えで収穫後に農薬を使っていない飼料、隣の「宮垣農産」から分けてもらう野菜などを与えている。
 現在力を入れているのが卵を使ったスイーツ。プリン、シフォンケーキ、ブリュレなどを作っている。
 芦田昭也社長(53)=丹波市氷上町鴨内=は、「飼育規模を拡大するのは難しく、加工を伸ばしていく。惣菜加工の許可も取りたい思いはある。たどり着きたいのは、農家レストラン」と思いを語った。

養鶏場にて

養鶏場にて

新人賞
渡部真平さん
給食に丹精の野菜提供

 渡部真平さん(32)は、神戸市出身で、南あわじ市での就農を経て、2009年5月に丹波市市島町にIターン。年間50―60品目の野菜類を有機栽培で生産している。
 100㌃ほどの農地で、大根やナス、トマトなどのほか、ズッキーニやバターナッツカボチャなど、丹波地域では生産数が少ない品種も栽培している。丹精の作物は、高級ホテルや飲食店などに卸しており、個別配送にも対応している。
 5㌃で展開するニンジンは糖度が高く、丹波市内の小中学校の給食用にも提供。夏の間、畝に透明マルチを敷き、土を蒸らす「太陽熱処理」で除草効果を高めている。
 頻繁に栽培中の作物の写真を撮り、小さな変化にも対応できる「観察」を大切にしている。また、土壌に含まれる成分量を測定し、育てる作物に合わせた施肥設計に取り組んでいる。
 今年はルッコラやペチュニアなど食用花にも挑戦する。ハウス設置など設備投資も検討している。

渡部真平さん

渡部真平さん